結婚前に2人で決めた約束を書面にしたもの
婚前契約とは、結婚する前に2人で話し合って合意した約束事を書面にまとめたものです。「財産管理や離婚時の取り決め」という印象を持たれがちですが、実際には日々の家計管理、家事・育児の分担、結婚後の働き方や暮らし方の価値観のすり合わせとして活用されるケースも少なくありません。契約書という形にするだけでなく、作成に向けた話し合いそのものが、2人の将来にとって有意義な時間となります。
婚前契約・夫婦財産契約――呼び方の整理
一般によく使われる「婚前契約」「婚前契約書」「プレナップ」は、法律上の正式な用語ではなく通称です。民法には、これらに近い制度として「夫婦財産契約」が定められています(民法755条)。これは、法律で定められた標準的な財産ルール(法定財産制)とは異なる取り決めをしたい場合に交わす契約です。なお、本記事では読みやすさを優先し、一般的な呼称である「婚前契約」に統一して解説します。
婚前契約と登記は別のことです
婚前契約は、私文書または公正証書として作成します。法定の財産ルールと異なる取り決めをした場合は、それを2人以外にも主張するために、夫婦財産契約の登記を足すことができます。書面の作り方について詳しくは、後述の「書面の作り方(私文書・公正証書)と登記」へ。
入籍後でも作れるか
婚姻届を提出した後に、夫婦間で新しく合意書を作成すること自体は可能です。ただし、入籍後に交わした書面は、日々の暮らし方や個別の約束事項に関する「2人の合意書(私文書)」としての効力にとどまり、民法上の「夫婦財産契約」には該当しません。この違いについての詳細は、後述の「夫婦財産契約の登記」で解説します。