GUIDE

家族間の借用書のひな形と書き方
親から住宅資金を借りる場合

親から住宅資金(頭金など)を借りる方・出す方、兄弟姉妹の間でお金を貸し借りする方に向けて、そのまま使える借用書のひな形と書き方をまとめました。

この記事でわかること

この記事で扱わないこと
個別の税額の判断(税理士の領域です)。返済が滞っている、揉めているときの対応(弁護士の領域です)。

01

借用書のひな形(Word・PDF)と、全文の文例

家族の間でお金を貸し借りするときも、書面にしておくと後で「言った・言わない」にならずに済みます。まずは、そのまま使えるひな形をご用意しました。会員登録などは不要で、そのままダウンロードいただけます。

使う前に確認する3点

ダウンロードの前に、次の3点だけ読んでおいてください。

  1. 1. これはひな形(見本)です。そのまま完成する契約書ではありません。
  2. 2. ご自身の契約の内容に合っているかは、ご自身でご確認ください。どこを確認するかは、次の章で1項目ずつ説明します。
  3. 3. このひな形は一般的な見本であり、ご自身の契約に合うことを保証するものではありません。税務の判断は税理士、印紙税に関するご質問は所轄の税務署、争いがある場合は弁護士にご相談ください。

ひな形のダウンロード(Word・PDF)

以下からダウンロードいただけます。WordとPDFは同じ内容です。

WordでダウンロードPDFでダウンロード

Wordは、ご自身の条件に書き換えて使いたい方向けです。PDFは、内容を確認したい方向けです。

文例(全文。ダウンロードせずに読みたい方向け)

画面上で内容を先に確認したい方のために、ひな形の条文と記入時の注意書きをそのまま掲載します(記入例はWord・PDF版に入っています)。【  】は、ご自身の金額・日付・お名前などを入れる欄です。【一括/分割】のように「/」で区切られているところは、あてはまるほうを選んで、もう一方を削除してください。〔 〕は記入時の注意点で、印刷・配布するときは削除してください。空欄の埋め方は、次の章で1項目ずつ説明します。

〔収入印紙:表題の左横に貼ります〕

金銭消費貸借契約書(借用書)

〔表題左の枠に収入印紙を貼り、印紙と契約書の用紙の両方にかかるように、貸主または借主(作成者)が押印または署名(消印)してください。消印を忘れると、その印紙の額面と同額の過怠税がかかります(この過怠税も、合計額が1,000円に満たないときは1,000円になります。印紙税法20条3項・4項)〕

貸主【        】(以下「甲」という。)と借主【        】(以下「乙」という。)は、次のとおり金銭消費貸借契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(貸付)

〔次の(A)(B)のうち、あてはまるほうを選び、もう一方を削除してください〕

〔(A) すでにお金を受け取っている場合〕

〔次の【銀行振込/現金の手渡し】のうち、あてはまるほうを選び、もう一方を削除してください〕

甲は、乙に対し、【令和〇〇年〇〇月〇〇日】、住宅資金として金【        円】を、【銀行振込/現金の手渡し】により貸し渡し、乙はこれを受領した。

〔補足:お金を渡した日と、この書面を作成した日が異なる場合は、次の一文を追加してください(日が同じ場合は追加不要です)。「なお、本書は、上記交付日における甲乙間の合意を証するため、【令和〇〇年〇〇月〇〇日】に作成する。」〕

〔(B) これから受け取る場合(契約書を先に作り、後で振り込んでもらう場合)〕

1. 甲は、乙に対し、住宅資金として金【        円】を貸し付けることを約し、乙はこれを借り受けることを承諾した。
2. 甲は、【令和〇〇年〇〇月〇〇日】までに、乙の指定する銀行口座へ振り込む方法により、前項の金銭を交付する。

〔補足:(B)を選んだ場合、乙(借主)は、実際にお金を受け取るまでは、この契約を解除することができます。ただし、解除によって甲に損害が生じたときは、乙はその賠償を求められることがあります(民法587条の2第2項)〕

〔補足:第2項の振込予定日がまだ確定していない場合は、実際に振り込む予定日より少し余裕を持たせた日を「までに」の形で書いておくとよいでしょう。振込が予定より早まる分には問題ありませんが、大きくずれる場合は、その時点で日付を書き直すか、あらためて合意し直しておくと安心です〕

〔補足:実際に振込を受け取った後にすることは、ガイド本文「作ったあとにすること」の章でご案内しています〕

〔補足:第1条の「住宅資金として」は、目的に合わせて書き換えてください。兄弟姉妹間の貸し借りなど、住宅資金以外の目的でもこのひな形を使えます〕

第2条(返済方法・期日)

乙は、甲に対し、前条の借入金を、次のとおり返済する。

  • 返済方法:
    • 【一括】
    • 【分割(毎月〇〇円ずつ)】
    • 【分割(毎月元金〇〇円+利息。下記(ア)による)】
    • 【分割(元利合計で毎月〇〇円。下記(イ)による)】
  • 返済期日:【令和〇〇年〇〇月〇〇日限り/令和〇〇年〇〇月から令和〇〇年〇〇月まで、毎月末日限り】
  • 返済先:【甲の指定する銀行口座(銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義)】

〔注意:返済方法は上の4つのうち、あてはまるものを1つだけ選んで残し、ほかは削除してください。無利息の場合は「分割(毎月〇〇円ずつ)」を、利息を付ける場合は下記(ア)(イ)のどちらかを選んだうえで、対応する「分割(毎月元金〇〇円+利息)」または「分割(元利合計で毎月〇〇円)」を選んでください〕

〔注意:借入額を月々の元金(無利息の場合は返済額)で割り切れない場合は、「ただし、最終回の元金は〇〇円とする」のように端数を調整する一文を加えてください。無利息の場合と(ア)を選ぶ場合は、回数×毎月の元金額が元金と一致しているか、必ず検算してください。(イ)を選ぶ場合は、返済予定表の元金欄の合計が元金と一致しているかで確認してください〕

〔次条で利息を付ける場合は、分割返済の内訳について、次の(ア)(イ)のうち、あてはまるほうを選び、もう一方を削除してください。無利息の場合、この選択は不要です〕

(ア) 毎月の返済額は、元金【  】円に、前回の返済日(初回は、乙が第1条の金銭を受け取った日)の翌日から当該返済日までの期間について、その期間の初日における残元金に第3条の利率を乗じ、日割り(1年を365日とする。1円未満は切り捨てる)で計算した利息を加えた額とする。

〔注意:(ア)を選び、第1条で(B)を選んだ場合、初回の利息は実際に振込を受けた日の翌日から数えます。契約書を作った日や、第1条(B)の振込期限の日からではありません〕

(イ) 毎月の返済額は、元金と利息をあわせた【  】円とする(別紙の返済予定表のとおりとする)。

〔注意:(イ)を選ぶ場合は、毎月の元金・利息の内訳が分かる返済予定表を作成し、本契約書に添付してください。返済予定表は、金融機関のローンシミュレーションなどを参考に作成する方法があります。計算が難しい場合は、(ア)を選ぶか、無利息にするか、行政書士にご相談ください〕

第3条(利息)

〔次の(1)(2)のうち、あてはまるほうを選び、もう一方を削除してください〕

(1) 本契約は無利息とする。

(2) 乙は、甲に対し、前条の借入金に対し年【  】%の割合による利息を付し、元金とあわせて返済する。

〔注意:利息を付ける場合の上限は、借入金額によって異なります(利息制限法1条)。元本10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%を超える部分は無効になります〕

第4条(遅延損害金)

〔次の(1)(2)のうち、あてはまるほうを選び、もう一方を削除してください〕

(1) 乙が第2条の返済を怠ったときは、乙は甲に対し、支払うべき金額に対し、支払期日の翌日から支払を終えるまで年【  】%の割合による遅延損害金を支払う。

(2) 乙が第2条の返済を怠ったときの遅延損害金については、特に定めない。

〔注意:遅延損害金の利率にも上限があり、第3条の利息の上限の1.46倍までです(利息制限法4条)。たとえば元本が100万円以上の場合、利息の上限は年15%なので、遅延損害金の上限は年21.9%になります。(2)を選んで何も定めない場合は、法律で決まった割合(法定利率。現在は年3%です。法定利率は3年ごとに見直され、次回の見直しは令和11年4月1日です)によります。ただし、第3条で法定利率を超える利率の利息を定めているときは、その利率によります(民法419条1項)〕

第5条(期限の利益の喪失)

乙が次の各号のいずれかに該当したときは、乙は期限の利益を失い、甲に対し借入金の残額および遅延損害金を直ちに一括して支払う。
(1) 分割返済を【2】回以上怠り、甲が相当の期間を定めてその支払を催告したにもかかわらず、その期間内に支払わないとき
(2) 乙が破産手続開始その他の倒産手続開始の申立てを受け、またはこれを自ら申し立てたとき

〔注意:1号の回数(2回)は一例です。1回の遅れで残額全部を一括請求できる形にもできますが、家族間の貸し借りでは厳しくなりすぎることがあります。よく話し合って決めてください〕

〔注意:一括返済を選んだ場合、1号(分割返済の回数)は使いませんので削除してください。削除した場合、残る号の番号を1号から振り直しても、振り直さなくても契約の効力に影響はありません〕

〔注意:本契約への重要な違反があったときにも期限の利益を失わせたい場合は、「(3) 本契約の重要な条項に違反し、甲が相当の期間を定めて是正を求めたにもかかわらず、その期間内に是正しないとき」のように、範囲を絞った号を追加することもできます〕

第6条(保証人)〔保証人を立てる場合のみ〕

〔注意:保証人を立てない場合は、この第6条と、末尾の丙(連帯保証人)の署名欄をまとめて削除してください。第5条の次が第7条になっても契約の効力に影響はありません。番号を詰めたい場合は、削除後に第7条を第6条に、第8条を第7条に書き換えてください〕

連帯保証人【        】(以下「丙」という。)は、乙が本契約に基づき甲に対して負担する債務について、乙と連帯してその履行の責任を負う。

〔注意:事業資金の借入れの保証人になる場合は、契約の締結より前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする方が保証する意思を示す手続き(保証意思宣明公正証書)が必要になることがあります。住宅資金など個人の借入れでは、通常この手続きは不要とされています〕

〔注意:保証人を立てる場合は、末尾を「本書を3通作成し、甲乙丙署名押印のうえ、各自1通を保有する」に改めてください。この場合、3通すべてが原本となるため、収入印紙も3通分が必要になります〕

第7条(費用の負担)

本契約の締結に要する収入印紙代その他の費用は、【甲乙で折半/乙の負担】とする。

〔注意:この定めは甲乙の間での費用の分担を決めるものです。税務署に対しては、契約書を作成した甲乙の双方が連帯して印紙税を納める義務を負います(印紙税法3条2項)〕

〔収入印紙の説明(本文には印刷せず、記入時の案内として使用)〕

本契約書を2通作成し、甲乙がそれぞれ原本として保管する場合は、双方の原本に、契約金額に応じた収入印紙の貼付が必要です(印紙税法)。契約金額が1万円未満の場合は非課税です。金額の目安は国税庁の印紙税額の一覧表でご確認ください。控えとして写し(コピー)を1通だけ保管する場合、その写しには収入印紙は不要とされています(写しに相手方(または双方)の署名・押印を加えたり、「原本と相違ない」旨の証明を付けたりすると、その写しも課税対象になります)。

第8条(協議事項)

本契約に定めのない事項および本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議のうえ解決する。

以上、本契約の成立を証するため、本書を2通作成し、甲乙署名押印のうえ、各自1通を保有する。

【令和〇〇年〇〇月〇〇日】

甲(貸主)住所:【        】
  氏名(自署):【        】  印

乙(借主)住所:【        】
  氏名(自署):【        】  印

〔保証人を立てる場合のみ。立てない場合は、第6条とあわせてこの署名欄も削除してください〕

丙(連帯保証人)住所:【        】
  氏名(自署):【        】  印

以上が全文です。記入例((A)すでに受け取った場合/(B)これから受け取る場合/(ア)利息を付ける場合の3本立て)は、ダウンロードいただくWord・PDF版に記載しています。

02

ひな形のどこを自分で埋めるか(各行の意味と書き方)

ひな形の空欄は、次の順番で埋めていくと迷いにくくなります。

貸す人・借りる人と、日付・お金の受け渡し方(第1条)

貸主・借主のお名前とご住所を書きます。第1条は(A)(B)の2通りから選びます。

  • (A) すでにお金を受け取っている場合:「お金を渡した日」と「書面を作った日」の両方を書いておくと、いつの分の貸し借りかがはっきりします。
  • (B) これから受け取る場合:住宅資金の頭金などは、契約書を先に作ってから振り込む順番になることが多いと思います。この場合は(B)を使います。契約は書面があれば、実際にお金を渡す前の合意の時点でも成立します(民法587条の2)。ただし、借主は実際にお金を受け取るまでは、この契約を解除できます。もっとも、解除によって貸主に損害が生じたときは、その賠償を求められることがあります(同条2項)。振込予定日がまだ確定していない場合は、実際の予定日より少し余裕を持たせた日を「までに」の形で書いておくとよいでしょう。実際に振り込みを受けた後にすることは、後の章「作ったあとにすること」でご案内します。

金額と、お金を渡した方法

いくら貸すか(借りるか)と、振込か手渡しかなど、お金を渡した方法を書きます。第1条(A)の【銀行振込/現金の手渡し】から、あてはまるほうを選んでください((B)を選んだ場合は、条文上、銀行振込に固定されます)。振込にしておくと、後から「渡した・渡していない」を確認しやすくなります。

返済の方法・期日・回数(第2条)

一括で返すのか、分割で返すのかと、その期日を書きます。「返せるときでいい」と何も決めずにおくと、法律上は貸した側がいつでも「相当な期間を定めて返してほしい」と言える状態になります。具体的な返済時期や分割方法を決めておくほうが、後のトラブルを避けられます。「ある時払いの催促なし」や「出世払い」のような書き方は、税務上の扱いにも関わります。詳しくは後の章「贈与と見られないために、書面でできること」をご覧ください。

借入額を毎月の元金(無利息の場合は返済額)で割り切れない場合は、最終回だけ端数を調整する一文(「ただし、最終回の元金は〇〇円とする」など)を加えてください。無利息の場合と、利息を付けて(ア)を選ぶ場合は、回数×毎月の元金額が借入額とぴったり一致するか検算してください。(イ)を選ぶ場合は、毎月の返済額に利息が含まれるため、返済予定表の元金欄の合計が借入額と一致しているかで確認します。

利息を付けるか、付けないか(第3条)

無利息にするかどうかは、当事者が決めればよく、何も書かなければ無利息が原則です(民法589条)。利息を付ける場合は、借りる金額に応じて次の上限があります(利息制限法1条)。家族間でも、この上限を超える部分は無効になります。

  • 元本が10万円未満:年20%
  • 元本が10万円以上100万円未満:年18%
  • 元本が100万円以上:年15%

利率をいくらにするか迷う場合、当事務所では、民法の法定利率(年3%)を参考にご案内しています。ただし、何%以上なら贈与とみなされないという公の基準はありません。まずは「無利息にするか、法定利率を参考に利率を決めるか」を軸に考えてみてください。無利息にする場合の税務上の注意は、後の章「贈与と見られないために、書面でできること」であわせて説明します。

利息を付ける場合は、ひな形第2条の「返済方法」欄と、その下の(ア)(イ)をあわせて選びます。

(ア)は、毎月の元金を一定額に固定し、前回の返済日(初回は、乙が第1条の金銭を受け取った日)の翌日から今回の返済日までの期間について利息を加算する方法です。その期間の初日の残元金をもとに、日割り(1年を365日として計算)で利息を計算します。第1条で(A)を選んだ場合は貸付日が、(B)を選んだ場合は実際に振込を受けた日が、この「金銭を受け取った日」に当たります。毎月の返済額は少しずつ変わりますが、計算の仕組みは条文の中で決まっており、(A)(B)のどちらを選んでも、初回の利息がいつからいつまでの分かが一つに決まります。

(イ)は、毎月の返済額を元金と利息の合計として一定額にする方法(元利均等)です。毎月の返済額は一定になりますが、毎月の元金・利息の内訳が分かる返済予定表を作成し、契約書に添付する必要があります。返済予定表は、金融機関のローンシミュレーションなどを参考に作成する方法があります。決め方まで考えるのが難しい場合は、(ア)を選ぶか、無利息にするか、行政書士にご相談ください。なお、契約条件の決め方についての一般的なご案内はできます。当事者お二人の間の条件を調整・交渉することはできません(弁護士法72条)。

返済が遅れたときの取り決め(第4条・第5条)

分割払いが滞ったときに備えて、「何回分滞ったら残りを一括で請求できる」という条項(期限の利益喪失条項)を入れておくことができます。実務では2回程度を目安にすることが多いですが、家族の状況に合わせて話し合って決めてください。1回の遅れで残額全部を一括請求できる形にすると、家族間の貸し借りでは厳しくなりすぎることがあるため、ひな形では、分割払いの延滞については「催告してもなお支払われないとき」という条件を加えています(破産手続開始の申立てなど、支払いの延滞以外の事由には、この催告の条件は付けていません)。

遅延損害金(支払いが遅れたときの上乗せ額)にも上限があり、利息の上限の1.46倍までとされています(利息制限法4条)。たとえば元本が100万円以上の場合、利息の上限は年15%なので、遅延損害金の上限は年21.9%になります。定めなくてもかまいません。何も決めなかった場合は、法律で決まった割合(法定利率。現在は年3%です。法定利率は3年ごとに見直され、次回の見直しは令和11年4月1日です)によることになります。ただし、第3条で法定利率を超える利率の利息を定めているときは、その利率によります(民法419条1項)。

署名・押印と、作る通数(手書きでなくてもよい?実印は必要?)

本文をパソコンで作り、署名だけ自分の手で書く形でも契約書として問題ありません。「記名」(印字された名前)ではなく「署名」(自分の手で書く名前)にしておくと、後で「自分は書いていない」と言われにくくなります。押印は認印でもかまいませんが、実印と印鑑証明書をそろえておくと、一般に、後で「自分は押していない」と言われにくくなります。実印でなければ無効になるわけではありません。

契約書は貸主用・借主用の2通作成し、それぞれが原本を保管するのが基本です(保証人を立てる場合は3通になります。次の「保証人を立てるとき」もご覧ください)。

収入印紙(いくら貼るか、2通のとき、貼り忘れたとき)

金銭消費貸借契約書は印紙税の対象になる文書です。契約書に書く金額(契約金額)が1万円未満の場合は非課税です。1万円以上の場合、契約金額に応じて次のとおり収入印紙が必要になります(国税庁の印紙税額の一覧表より、家族間の貸し借りでよくある金額帯を抜粋)。

  • 1万円以上10万円以下:200円
  • 10万円超50万円以下:400円
  • 50万円超100万円以下:1,000円
  • 100万円超500万円以下:2,000円
  • 500万円超1,000万円以下:10,000円

これより大きい金額の場合や、最新の金額は、国税庁の印紙税額の一覧表でご確認ください。

2通とも署名・押印して原本として使う場合は、2通とも収入印紙が必要です。写し(コピー)を控えとして持つだけであれば、その写しには印紙は不要とされています。ただし、写しに相手方(または双方)の署名・押印を加えたり、「原本と相違ない」旨の証明を付けたりすると、その写しも課税対象になります。

貼った収入印紙には、印紙と契約書の用紙の両方にかかるように、貸主または借主のいずれか(作成者)が押印または署名(消印)します。消印を忘れると、その印紙の額面と同額の過怠税がかかりますので、貼るだけでなく消印まで済ませてください(この過怠税も、合計額が1,000円に満たないときは1,000円になります。印紙税法20条3項・4項)。

収入印紙を貼り忘れても、契約自体は無効になりません。ただし、税務調査で指摘されると、本来の印紙税額に加えて、その2倍に相当する金額の過怠税が課され、合計で本来の3倍相当額を納めることになります(印紙税法20条1項)。この3倍の場合の合計額が1,000円に満たないときは1,000円になります(同条4項)。税務署の調査を受ける前にご自身で申し出た場合は、合計で本来の1.1倍相当額に軽減されます(同条2項)。この1.1倍に軽減される場合には、1,000円の下限は適用されません(同条5項)。

なお、PDFなどの電子データのまま取り交わす契約書には、収入印紙は不要です。印紙税がかかるのは「文書」であり、電磁的記録は文書に含まれないためです(国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」、印紙税法2条)。紙に印刷して原本として取り交わす場合は、その紙の契約書が課税対象になります。印紙税についてご不明な点は、所轄の税務署にお尋ねください。

保証人を立てるとき(当てはまる方のみ)

事業資金の借金の保証人になる場合は、契約の締結より前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする方が保証する意思を示す手続き(保証意思宣明公正証書)が必要になることがあります。住宅資金など個人としての借り入れでは、通常この手続きは要りません。

保証人を立てる場合は、契約書を3通作成し、貸主・借主・保証人がそれぞれ1通ずつ原本として保管します。この場合、収入印紙も3通分が必要になります。保証人を立てない場合は、ひな形の第6条とその署名欄をまとめて削除してください。番号が飛んでも契約の効力に影響はありません。

「借用書」と「金銭消費貸借契約書」、名前はどちらでもよい?

「借用書」でも「金銭消費貸借契約書」でも、書かれている内容が同じであれば法律上の効力に違いはありません。実務では、借主だけが署名する形を「借用書」、貸主・借主双方が署名する形を「金銭消費貸借契約書」と呼び分けることが多いですが、これは慣習上の使い分けであり、名前によって効力に差が出るわけではありません。名前より、金額・返済方法・日付・署名がきちんと書かれているかが大切です。

03

贈与と見られないために、書面でできること

税務署やほかの家族に「借りたお金」だと説明できる状態にしておく

国税庁は、「返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません」としています(国税庁タックスアンサーNo.4420「親から金銭を借りた場合」)。書面と返済の記録は、そのための材料になります。

避けたい書き方(「出世払い」「ある時払いの催促なし」など)

国税庁の同じ説明によると、無利息の場合は利息に相当する分だけが贈与として扱われることがある一方、「ある時払いの催促なし」「出世払い」のような貸し借りは、借りたお金そのものが贈与として取り扱われます。「利息相当額だけが問題になるのか」「借りたお金全体が問題になるのか」で、影響する金額が大きく変わります。前の章の返済期日の決め方もあわせてご覧のうえ、具体的な返済時期を必ず決めておいてください。

返済の記録を残す

振込で返済し、通帳やアプリの明細に記録を残しておくと、実際に返済している事実を示しやすくなります。

税理士に相談したほうがよい場面

年間110万円までの贈与には贈与税がかかりません(暦年課税の基礎控除)。また、無利息にすると、本来受け取れたはずの利息の分が贈与とみなされる可能性があります(相続税法9条)。国税庁の通達では、この利益が少額である場合や課税上弊害がないと認められる場合には、この取扱いをしなくてもよいとされています(相続税法基本通達9-10)。ただし、金額の具体的な線引きは示されていません。無利息にしてよいかどうかは、個別の事情によって判断が変わるため、当事務所では独自の基準をお示ししていません。心配な場合は税理士にご確認ください。

次のような場面では、早めに税理士に相談することをおすすめします。「無利息にした場合の利息相当額など、贈与とみなされうる金額が基礎控除(110万円)を超えて動きそうなとき」「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度(父母や祖父母などから住宅取得等資金の贈与を受けた場合に一定額まで贈与税がかからない制度で、令和8年12月31日までの贈与が対象です。詳しくは国税庁タックスアンサーNo.4508でご確認ください)を使いたいとき」「税務署から連絡があったとき」。個別のケースで贈与に当たるかどうかを判断することは、税理士の業務範囲になります。ここでは一般的な考え方をご紹介するにとどめています。

なお、収入印紙に関するご質問は税理士の業務範囲に含まれていません(税理士法2条1項は印紙税を対象税目から除いています)。印紙税でご不明な点は、所轄の税務署にお尋ねください。

04

こんなときは、ひな形のままでは足りない

事業資金を貸し借りするとき、担保をつけるとき

事業性のある貸し借りや、不動産などに担保を設定する場合は、ひな形だけでは足りず、個別の内容に合わせた条項が必要になります。抵当権などの担保を登記する手続きは司法書士の業務です。

当事者が3人以上のとき、相続人が複数いて説明を残しておきたいとき

貸主・借主のどちらかが複数人になる場合や、将来の相続を見据えてきょうだいにも内容を共有しておきたい場合は、ひな形の構成では対応しきれないことがあります。

すでに返済が滞っている、条件がまとまっていないとき

すでに返済が滞っている場合や、当事者の間で意見が対立している場合の交渉・請求は、行政書士では対応できません。弁護士にご相談ください。

05

作ったあとにすること

((B)を選んだ方)お金を受け取ったら

第1条(B)を選んだ場合、実際に振込を受けたら、通帳やアプリの明細をそのまま保管しておきます。念のため、受け取った金額と日付を記した一筆(受領書)を作り、貸主・借主それぞれが1通ずつ持っておくと、後で「本当に受け取ったのか」を聞かれたときにも安心です。

決めたとおりに返済し、記録を残す

契約書で決めた期日・方法のとおりに返済し、その記録を残します。

条件を変えるときは、変更の合意も書面にする

返済期日や金額を後から変える場合は、その変更についても当事者の合意を書面に残しておくと、後の行き違いを防げます。

返し終わったときにすること(完済の記録と、借用書の保管)

返し終わったときは、「完済したこと」が分かる一筆(受領書など)を作っておくと安心です。契約書や返済の記録は、返した事実を示す証拠になります。完済した後も、原則5〜10年を目安に保管しておくと安心です(貸したお金を請求する権利の時効は、各回の返済期日から数えて5年・10年とされています。民法166条1項)。

06

自分で作るか、相談するか

金額が大きくても、自分で作れる場合

条件がシンプルで、当事者の間で内容にしっかり合意ができている場合は、ひな形をもとにご自身で作成することも可能です。

行政書士への相談が役立つ場合

条件が複雑な場合や、公正証書(公証役場で作成する書面)にしておきたい場合は、行政書士への相談が役立ちます。借用書・金銭消費貸借契約書は、行政書士が作成をお手伝いできる「権利義務に関する書類」にあたります。公正証書にする場合、行政書士は原案の作成や必要書類の準備をお手伝いできますが、実際に証書を作成するのは公証人です。

相談するときの費用の目安

ご相談は無料です。料金がかかるのは、実際に契約書の作成をご依頼いただく場合からです。当事務所の基本料金は、金銭消費貸借契約書サービスページ記載の通り30,000円〜です(表示価格のとおりで、別途消費税はいただきません)。公正証書化のサポートや保証人付き契約書の作成は別途お見積りとなります。公証役場の手数料や印紙税は実費としてお客様にご負担いただきます。ご自身で作成した借用書・金銭消費貸借契約書の内容をチェックするだけのご依頼も承っています。料金は内容により異なりますので、お気軽にお問い合わせください。

ほかの専門家に相談する内容

個別の税額の判断は税理士、印紙税に関するご質問は所轄の税務署、すでに返済が滞っている・当事者間で揉めている場合の対応は弁護士にご相談ください。行政書士は、契約書の作成そのものはお手伝いできますが、税額の計算や紛争の交渉は業務範囲の外になります。

07

まとめ

家族間の借用書は、名前よりも「金額・返済方法・日付・署名」がそろっているかどうかが大切です。ひな形を使えば、まずはご自身で作成いただけます。まだお金を受け取っていない場合は第1条の(B)を選び、実際に受け取った後は明細や受領書を残してください。無利息にする場合は、利息に相当する額が贈与として扱われることがあります。「ある時払いの催促なし」や「出世払い」のような書き方をすると、借りたお金そのものが贈与として取り扱われます。返済時期は決めて書いてください。条件が複雑な場合や、公正証書にしたい場合は、行政書士へのご相談も選択肢のひとつです。

ダウンロードの前に、上記「使う前に確認する3点」を今一度ご確認ください。

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ご自身での作成に不安がある場合や、公正証書にしたい場合は、お気軽にご相談ください。このガイドの内容は、実際に契約書の作成をお手伝いする金銭消費貸借契約書の作成サービスでも詳しくご案内しています。

この記事は一般的な情報のご案内であり、個別のケースへの法的助言ではありません。個々の事情に応じた判断は、税理士・弁護士・司法書士など各専門家にご相談ください。

奥田行政書士法務事務所

「親しき仲にも契約あり」

家族間の合意を書面に残すことは、信頼を損なうことではありません。 むしろ、大切な関係を守るための誠実な行動です。 当事務所は、家族間の特殊な事情と感情に寄り添いながら、 後々の誤解が生じにくい書面づくりをお手伝いします。

OFFICE INFO

  • 事務所名奥田行政書士法務事務所
  • 登録番号22262548
  • 代表者行政書士 奥田 隆富
  • 所在地〒562-0045
    大阪府箕面市瀬川1丁目24番3号
  • 対応エリア全国(オンライン対応)
  • 相談方法Zoom / メール