GUIDE

親の家に無償で同居している
相続前に決めておきたいこと

親の家に「タダで住んでいい」は、口約束のままになりやすい言葉です。
相続の前に、同居の取り決めを残しておく意味を整理します。

親の家への同居は、介護のため、経済事情のため、あるいは単に「家族だから」という理由で、ごく自然に始まります。家賃のやり取りがないと、「契約書までは大げさ」と感じやすいものです。ただ、無償の同居でも、誰がどの家(または部屋)を使うのか、費用を誰が持つのか、いつまで続くのかが口頭のままだと、相続や兄弟との関係が変わったときに説明しにくくなります。このページでは、すでに親の家に無償で同居している方向けに、相続前に決めておきたいポイントを行政書士の立場から整理します。

親の土地に家を建てる前の話(土地利用)は、別ガイド「親の土地に家を建てる前に|使用貸借契約書が必要な理由」をご覧ください。本ページは、建物や部屋での同居がテーマです。

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無償同居は、法律上どんな関係になりやすいか

親族間で家賃を取らずに家や部屋を使わせる関係は、実務上、使用貸借(無償で物を使わせ、終わったら返す約束)として整理されることが多いです。賃料の支払いを要素とする賃貸借とは、「無償」という点で区別されます。

無償であることの裏返しとして、借地借家法による強い保護は基本的に及びにくいのが一般的です。だからこそ、「いつまで」「どんな目的で」「費用はどうするか」を、あとから説明できる形で残しておく意味があります。

なお、名義・実態・金銭のやり取りの仕方によっては、別の評価になることもあります。個別の当てはめは事案によるため、不安な場合は早めにご相談ください。たとえば、毎月の定額支払が実質的な家賃なのか、実費の分担なのか、どの部屋を誰が専用で使うのかによって、契約関係の整理は変わり得ます。書面を作る際は、金額だけでなく、その支払の趣旨も明確にします。

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書面がない同居で起きやすいこと

「家族だから大丈夫」という口約束だけだと、相続や関係の変化のタイミングで、内容や合意の立証が難しくなりやすいです。よく話題になるのは次のような点です。

  • 他の相続人から「特別受益では」と指摘される可能性 — 長年、親の家に無償で住んでいたことについて、他の相続人から「特別受益(生前に特別に得た利益)では」と指摘されることがあります。行政書士の立場で「特別受益になる/ならない」と断定はできませんが、遺産分割の場で議論の材料になり得る、という点は知っておくとよいです。個別の判断は弁護士への相談が必要です。なお、無償で同居していたという事情だけで、直ちに特別受益と決まるわけではありません。遺産分割でどのように扱われるかは、無償同居に至った経緯、期間、費用負担、親の意図などを踏まえた個別の判断になります。
  • 親の意向が残らず、相続後に退去を求められること — 同居を認めていた親が亡くなると、家の権利関係は相続の枠組みに入ります。ただし、親の死亡だけで使用貸借が当然に終了するわけではありません。口頭の「ずっと住んでいい」だけでは、合意の内容や条件を説明しにくく、相続人間で居住継続や明渡しをめぐる話合い・対立が生じることがあります。使用貸借は借主の死亡で原則として終了しますが(民法597条3項)、貸主(親)の死亡で当然に終了するわけではありません。相続後は権利者が変わり得るため、親の意思や条件を書面に残しておくことが重要です。
  • 固定資産税・光熱費・修繕の負担でもめること — 家賃はなくても、固定資産税、光熱費、修繕費の負担は現実に発生します。「同居している側が払うのか」「親の口座から出ているのか」が曖昧だと、相続前後で感情的な対立につながりやすいです。
  • 介護・寄与の話と混ざって対立しやすいこと — 介護のための同居では、「世話をしたのだから」「家賃相当をもらっていたのでは」など、寄与や特別受益の話と論点が重なりやすいです。取り決めがないと、善意の同居ほど後から説明が難しくなることがあります。
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相続前に決めておきたいチェックリスト

すでに同居している場合でも、次の項目を親子(貸主・借主)で確認し、書面に残しておくとよいです。

  • 貸主・借主の氏名・住所
  • 対象となる建物(または部屋)の特定
  • 同居・使用の目的(介護、経済事情、その他)
  • 期間、または終了の条件
  • 固定資産税・光熱費・修繕費など費用の負担
  • 他の同居人・第三者の利用の可否
  • 親が施設入所・長期入院したときの扱い
  • 同居している側(借主)が先に亡くなったときの扱い
  • 同居終了時の明渡し・原状回復の範囲

※固定資産税の納税義務者は、原則として所有者です。同居する方が費用を負担する合意をしても、自治体に対する納税義務者まで変わるものではありません。

すべてを一度に完璧にする必要はありません。まずは「目的・期間・費用・終わったときの扱い」からでも構いません。

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今から書面を作る意味(すでに同居している場合)

すでに同居が始まっていると、「今更なにを書くのか」と感じるかもしれません。それでも今から作成する意味はあります。

  • いまの同居が、親のどういう意図なのかを残せる(介護のためか、当面の住まいの確保か、など)
  • 他に兄弟がいるとき、「家賃なしで住まわせていた理由」を後から説明しやすくなる
  • 光熱費・修繕・施設入所後の扱いなど、同居ならではの論点を先に揃えられる

契約には、親に内容を理解し合意する能力(意思能力)が必要です。判断能力が確かなうちに進めるのが安全です。認知症の程度によっては意思能力が認められず、契約が無効とされるリスクがあります。不安な場合は、できるだけ早めにご相談ください。この書面は、当時の合意や事情を残すためのものです。遺産分割、特別受益、相続分をあらかじめ決めたり、相続人間の対立を必ず解決したりするものではありません。

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行政書士ができること・できないこと(同居の書面化)

当事務所で対応できるのは、すでに条件の方向性が見えている同居について、使用貸借契約書として条項を整理・作成することです。例えば、誰がどの部屋に住むのか、費用負担、施設入所後や同居終了時の扱いなどを、合意内容に沿って書き起こします。

  • 兄弟への説明や説得、条件交渉の代行はできません(弁護士法上の制限)
  • すでに「出ていってほしい/住み続けたい」で対立しているケースは弁護士へ
  • 同居と贈与税・相続税の個別判断、申告は税理士へ
  • 名義変更や登記申請は司法書士へ

親子間の無償同居だけで、直ちに贈与税が課されると一律に決まるわけではありません。一方で、親が負担する住居費や生活費が税務上どのように扱われるかは、同居する方の資力・生活状況、親の資力、負担の内容などの個別事情によって異なります。扶養義務者の間で、通常必要な生活費としてその都度直接使われるものには、贈与税の対象にならない取扱いがあります。なお、親の土地に子が家を建てる場合の使用貸借に関する税務上の取扱いは、建物・部屋への無償同居と同じ事案ではありません。税務上の判断や申告は税理士へご相談ください。

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次の一歩

親の家に無償で同居しているご家族向けに、使用貸借契約書の作成をオンラインで全国対応しています。料金は3万円〜、無料相談から始められます。

使用貸借契約書の作成について相談する

いまの同居の状況や、ご家族の関係の概要だけでも構いません。「何から話せばよいかわからない」段階でも大丈夫です。

奥田行政書士法務事務所

「親しき仲にも契約あり」

家族間の合意を書面に残すことは、信頼を損なうことではありません。 むしろ、大切な関係を守るための誠実な行動です。 当事務所は、家族間の特殊な事情と感情に寄り添いながら、 後々の誤解が生じにくい書面づくりをお手伝いします。

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  • 事務所名奥田行政書士法務事務所
  • 登録番号22262548
  • 代表者行政書士 奥田 隆富
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