GUIDE

兄弟姉妹・親子でお金を貸し借りするときの
話し合いの進め方

お金の話は、家族という近しい間柄だからこそ切り出しにくいものです。「身内なのに書面を交わすなんて水くさい」「頼まれたら無下には断れない」と感じる方も少なくありません。

しかし、金額や返す時期を口約束のままにしておくと、あとで「言った・言わない」のトラブルになりがちです。援助(贈与)だったのか貸し借りだったのか、受け止め方が食い違うこともあります。このページでは、書面をどう書くかではなく、書く前に家族でどう話し合えばよいかをまとめます。貸し借りとして合意がまとまったあとのひな形や書き方は、別ガイド「家族間の借用書のひな形と書き方」で説明しています。

こんな方に読んでほしい
兄弟姉妹からお金を借りたいと頼まれたものの、断りにくくて困っている方。あるいは、親や兄弟姉妹にお金を借りたいけれど、関係を悪くしない切り出し方が分からず悩んでいる方。

この記事でわかること
  • 書面を作る前に、家族で話し合う順番と項目
  • 「貸し借り」にするか「援助(贈与:あげた・もらった)」にするかの判断基準
  • 借りる側の切り出し方と、貸す側の角を立てない断り方の例
  • 話がまとまったあとに確認する次の一歩(借用書・金銭消費貸借契約書のひな形)

この記事で扱わないこと
借用書の条文の書き方(別ガイドで説明します)。すでに返済が滞っている・揉めている場合の回収や交渉(弁護士の領域のため、相談先の案内にとどめます)。個別の税額の判断(税理士の領域です)。

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話し合いのゴールを決めておく

話し合いを始める前に、「この場では何を決めるのか」という共通のゴールを持っておくと、話が感情論に脱線しにくくなります。

ゴールは、たとえば次の3つです。

  1. 1. 貸し借りにするのか、援助(贈与)にするのかをはっきりさせる
  2. 2. 貸し借りにするなら、金額・返済方法・期限・利息の有無を、そのまま書面に書けるところまで決める
  3. 3. 「今は決められない」「今回は貸せない」という結論も含め、関係を壊さない伝え方で一旦区切りをつける

「とりあえず口約束でお金を渡してしまう」と、あとで、どういうお金だったのか説明がつかなくなりがちです。この場で決めるのは、渡すかどうかだけではありません。渡すなら、どういうお金として渡すのかまで決めます。

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話す順番(おすすめの流れ)

一度にすべての条件を決めようとすると、気持ちがぶつかりやすくなります。次の順番で進めると、落ち着いて話し合えます。

1. 目的と金額のざっくり感を共有する

借りる側は、「何のためにお金が必要なのか」「いくら必要なのか」をまず正直に伝えます。貸す側は、自分が出せる上限を先に考えておきます。今すぐ用意できる額と、出したあとの家計や貯金への影響の両方から考えます。

この段階では、貸すかどうかの結論はまだ出さなくてかまいません。何に、いくら要るのかが見えないと、その先の条件を決められないからです。

2. 貸し借りか、援助(贈与)かを言葉にする

同じようにお金を渡しても、貸し借りか援助(贈与)かで、あとから残す書面も、税務上の説明も、ほかの親族への伝え方も変わります。

性質大まかな意味話し合いで確認すること
貸し借り(金銭消費貸借)返す約束があるお金金額、返済方法、期限、利息の有無
援助(贈与)返す約束がないお金返さなくてよいと、双方が同じ言葉で確認すること。他の親族への説明の要否

「返せるときでいい」「出世払いで」といった口約束で返す時期を決めずにおくと、あとで貸し借りだったのか援助だったのかを説明しにくくなります。貸し借りにするのであれば、返す時期まで具体的に決めて話し合ってください。時期を決めておけば、家族の認識もそろいます。

援助にする場合は、「返さなくていい」と二人で言葉にして確かめてから渡します。

税務上、援助(贈与)と貸し借りのどちらに当たるかは、個別の事情で判断されます。国税庁は、「ある時払いの催促なし」や「出世払い」のような貸し借りについて、借りたお金そのものが贈与として取り扱われる、と説明しています(国税庁タックスアンサーNo.4420)。国税庁は、返済能力や返済状況からみて本当の貸し借りと認められる場合には、借りたお金そのものは贈与にならない、とも説明しています。動く金額が大きい場合や、判断に迷う場合は、事前に税理士へご確認ください。住宅取得等資金の贈与税非課税特例を使いたい場合も同じです(親や祖父母など直系尊属からの、令和8年12月31日までの贈与が対象の制度です)。このページで扱うのは、家族の間で受け止め方をそろえるところまでです。

3. 返し方と期限を具体化する(貸し借りにする場合)

貸し借りとして進める場合は、次の項目について、数字と日付が決まるところまで話します。

  • 元本の金額(1円単位まで決める)
  • 返済方法(一括返済か、分割返済か)
  • 返済期日(いつまでに完済するか/毎月何日に、いくら返済するか)
  • 渡し方と返し方の記録(銀行振込なら振込先口座。現金手渡しなら、渡したときと返したときの受領記録や領収書)
  • 利息の有無(無利息か、利息を付けるか。付ける場合は年利率)

「生活に余裕ができたら返す」では、いつ返すのかがお互いに食い違ったままで、書面にも書けません。その場ですぐに数字が決まらないときは、「来週の〇曜日にもう一度話し合う」のように、次に話す日だけ決めて一旦区切ってもかまいません。

利率の決め方や、無利息にした場合の贈与税との関係については、別ガイド「家族間の借用書のひな形と書き方」で説明しています。

4. 返せなくなったときの扱いを、争いになる前に確認する

ここで取り上げるのは、万が一に備えてあらかじめ合意しておく条件です。すでに返済が滞っている相手への督促や取り立ての方法ではありません。

話し合っておくと安心な項目の例は以下のとおりです。

  • 病気や失業などで予定どおり返せなくなったとき、まず何をするか(すぐに連絡を入れる、返済計画を見直す話し合いの場を設ける、など)
  • 分割返済の遅れが続いたとき、残りのお金をどう扱うか(再度話し合って返済計画を見直す/一定の条件を満たした時点で一括返済を求める、など)
  • 保証人を立てるか、立てないか

条文にする作業は、書面を作る段階で行います。すでに返済が滞っている場合や、条件で意見が対立している場合の法的な請求・代理交渉は、行政書士はお引き受けできません。その際は弁護士へご相談ください。

5. 他の家族への伝え方を決める(必要な場合)

親子や兄弟姉妹のお金の話は、本人たち以外の家族(配偶者や、相続人になる家族)の気持ちにも関わります。「誰に、いつ、どこまで話すのか」「話さないなら、その理由は何か」も、できればこの場で確認しておきましょう。法律上の義務ではありませんが、あとで事実を知った家族が不信感を持ちやすいからです。

6. 合意した内容をメモし、書面化の段取りを決める

口頭での「だいたい分かった」で済ませず、必ずメモ(日付・金額・返し方・期限など)を残してください。あわせて、いつまでに書面にするのか、どちらが下書きを用意するのかも決めておきます。そのメモをもとに、次のガイドを参考にして正式な借用書にしていきます。

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話し合いチェックリスト(その場で使える)

話し合いの場でそのまま使えるよう、確認する項目を整理しました。

#確認項目メモ欄
1お金の使途・目的(住宅・生活費・事業資金など)
2金額(円単位)
3性質の合意(貸し借りか、援助(贈与)か)
4返済方法(一括/分割、毎回の返済額、毎月の返済期日)
5最終返済期限(または完済までの予定期間)
6利息の有無(利息を付ける場合の年利率)
7渡し方と返し方の記録(振込なら振込先口座。現金なら、渡したときと返したときの受領記録)
8予定どおり返済できなくなった際の連絡・見直しのルール
9保証人の要否
10他の家族・親族への情報共有の範囲
11書面作成の期日・担当(どちらが下書きを準備するか)
12本日の結論(貸す、貸さない、援助(贈与)とする、一旦持ち帰る)
13次回話し合う日時

援助と決まった場合は、返済に関する項目(4・5)、利息(6)、返済できなくなったときのルール(8)、保証人の要否(9)は空欄のままで差し支えありません。貸し借りと決めた場合は、チェックリストが全部埋まれば、借用書のひな形の空欄もそのまま埋められます。埋まらない項目があるときは、その場で無理に決めず、次に話し合う日を先に決めて持ち帰ってください。

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借りる側:切り出し方の一例

借りる側が「困っているから何とかしてほしい」と伝えるだけでは、貸す側は金額も返す時期も判断できません。次の順番で整理して話すと、相手も落ち着いて考えやすくなります。

  1. 1. 何に、いくら必要かを伝える(例:生活費として○○万円、住宅の頭金として○○万円、開業資金として○○万円など)
  2. 2. 自分で用意できる額と、どうしても足りない額を分けて説明する
  3. 3. 具体的な返済案を用意して伝える(毎月いくらずつ、いつまでに返し終える計画か)
  4. 4. 「もらうのではなく借りるのだ」と伝え、借用書を書くつもりだとも話す
  5. 5. 断ってもかまわないこと、返事は急がないことも伝える

切り出し方の例です。目的や相手に合わせて言葉を入れ替えてください。

「ちょっと相談があるんだ。生活費として○○万円がどうしても足りなくて、貸してもらえないかと思って。毎月△△円ずつ返して、□□年までに返し終えるつもり。無理なら断ってくれていいし、返事もすぐじゃなくていい。貸してもらえるなら、借用書もちゃんと書きたい。」

住宅の頭金や開業資金で借りるときは、目的の部分を「住宅の頭金として○○万円」「開業資金として○○万円」に変えるだけです。相手が親でも、そのまま使えます。

関係を悪くしないコツは、その場での「即答」を求めないことです。数字を書いたメモを渡して、持ち帰って考えてもらいましょう。

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貸す側:断り方・条件付きで応えるとき

家族からの頼みは、断りにくいと感じるのが自然です。ただ、返ってくる見込みのない金額を無理に引き受けると、自分の家計も家族の関係も、あとでもっと苦しくなります。

角を立てずに断るためのポイント

  • 相手の人柄ではなく、お金と家計の話として伝える(「あなたを信用できないから」ではなく、「今のうちの家計だと、この金額は出せない」と言う)
  • できる範囲の別案があれば添える(少額なら援助として渡せる、貸せる上限は○○円まで、公的な相談窓口や融資制度を一緒に探す、など)
  • その場では即決しない選択肢も示す(「一週間考えさせてほしい」と伝える)

きっぱり断るときの例:

「事情はよく分かった。力になれなくてごめん。今のうちの状況では、お金を貸すことも、援助として渡すこともできない。」

完全に断る場合は、これだけで十分です。利息や保証人の話に進まなくて構いません。

条件を付けて応じるときの例(全額は難しいが、一部なら出せるとき):

「事情はよく分かった。ただ、今のうちの家計では、頼まれた○○万円をそのまま出すのは難しい。援助なら△△万円まで出せる。貸すなら□□万円まで。どちらがいいか考えてほしい。」

貸し借りに応じる場合に、最初に伝えておくべきこと

貸し借りで応じるときは、お金を動かす前に、次のことを伝えておきます。

  • あげるのではなく、貸すお金だということ
  • 金額と返す日を、言葉にして確かめ合ってから渡すこと
  • 口約束で済ませず、必ず借用書(契約書)を作ること
  • 渡したことと返したことが記録に残る方法を選ぶこと(銀行振込なら振込先口座を指定する。現金手渡しなら、渡したときと返したときの受領書や領収書を作って保管する)

「家族の間なのに書面を交わすなんて水くさい」と相手が感じるようなら、次のように伝えると分かってもらいやすくなります。

「疑ってるわけじゃないよ。あとで自分たちやほかの家族にちゃんと説明できるように、書いて残しておきたいんだ。」

繰り返し貸すつもりなら、家族の間でも、貸金業の登録が必要になることがあります。利益を得る目的がなくても同じです。家族に一度貸すだけであれば、通常はこれに当たりません。判断に迷うときは専門家へご相談ください。

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援助(贈与)にする場合に、話し合いで押さえること

貸し借りではなく援助(贈与)としてお金を渡す場合は、次の点を二人で同じ言葉にして確かめます。

  • 「返さなくていい」と、二人とも同じように受け止めているか
  • 他の兄弟姉妹や配偶者にどう説明するか(あえて伝えないなら、その理由は何か)
  • 金額が大きい場合、贈与税などについて先に税理士に確かめるか

「こちらは援助のつもりで渡したが、相手はいつか返さなければと思っている」というすれ違いは珍しくありません。貸し借りにしないと決めたのであれば、「返さなくていいお金」とメモに一言書いておきましょう。個別の税額の計算や、申告が必要かどうかの判断は、税理士へご相談ください。

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話がまとまったら(次の一歩)

貸し借りとして話がまとまり、条件のメモが取れたら、次のステップは書面にする(借用書を作る)ことです。金額・返済方法・日付・署名押印などの項目がそろった借用書のひな形と、空欄の埋め方は、次のガイドにまとめています。ガイドのひな形は住宅資金の例で書かれていますが、目的の欄を書き換えれば、生活費や兄弟姉妹の間の貸し借りにも使えます。

→ 家族間の借用書のひな形と書き方

※すべて断る結論となった方や、援助(贈与)として渡すことに決めた方は、上記のページへ進む必要はありません。

事業資金を貸し借りする場合や、保証人を立てる場合は、ひな形のままでは足りないことがあります。書面を作る段階で、必要な点を確かめてください。

ひな形を使って、ご自身で作ることもできます。専門家による契約書の作成をご希望の場合、当事務所の金銭消費貸借契約書作成サービスは基本プラン 30,000円〜です。表示価格どおりで、別途消費税をいただくことはありません。事前のご相談は無料です。詳しいサービス内容は、金銭消費貸借契約書のページにまとめています。

公正証書の作成サポートや、保証人付きの契約書作成は基本プランに含まれず、別途お見積りとなります。また、権利関係が著しく複雑な場合も、事前にご相談のうえ別途お見積りとなることがあります。条件が複雑な場合や公正証書にしたい場合も、当事者お二人の間で合意内容が決まったあとであれば、正式な契約書の形に整える段階を行政書士がお手伝いできます。当事者間の条件そのものの交渉や調整の代理はお引き受けできません。料金体系や対応範囲の詳細は、金銭消費貸借契約書のページにてご確認ください。

一方で、以下のご相談は行政書士ではお引き受けできません。それぞれの専門窓口へお問い合わせください。

相談したい内容相談先
贈与か貸し借りかの該当判断、税額の計算や税務申告の相談税理士
すでに滞っている返済の請求・督促、条件対立が生じている場合の代理交渉弁護士
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まとめ

兄弟姉妹・親子のお金の話では、書面を作る前に、貸し借りか援助(贈与)か・いくら・どう返すか・いつまでに・予定どおりいかないときの連絡ルールを、同じ言葉でそろえておくことが大切です。借りる側は無理のない返済案を持って切り出し、貸す側は自分が出せる上限額を早めに率直に伝えてください。貸し借りで応じるときは、あとで関係がこじれないよう、借用書を作る方針を先に共有しておきます。無理をして引き受けずに断ることも、家族関係を守る一つの方法です(完全に断る結論となった方は、借用書のページへ進む必要はありません)。

土地を無償で使う約束(使用貸借)については、親の土地に家を建てる前にをご覧ください。建築資金や生活費を貸し借りする約束(金銭消費貸借)とは別の約束です。

貸し借りで話がまとまったら、家族間の借用書のひな形と書き方へ進み、金額・返済条件・期日・署名押印を書面に正確に書いてください。家族で合意した条件の整理や契約書作成で迷った際は、契約書にまとめる前の段階でも、当事務所の無料相談からお気軽にお問い合わせください。

話し合いのあとの書面づくりを相談する

家族で話し合った内容を書面にまとめるときや、契約書の作成でお迷いのときは、お気軽にご相談ください。事前のご相談は無料です。

※この記事は一般的な情報のご案内であり、個別のケースへの法的助言ではありません。すでにトラブルになっている場合は弁護士へ、具体的な税務判断については税理士へご相談ください。

奥田行政書士法務事務所

「親しき仲にも契約あり」

家族間の合意を書面に残すことは、信頼を損なうことではありません。 むしろ、大切な関係を守るための誠実な行動です。 当事務所は、家族間の特殊な事情と感情に寄り添いながら、 後々の誤解が生じにくい書面づくりをお手伝いします。

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  • 事務所名奥田行政書士法務事務所
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